コールセンターにかかってくる相談電話のなかでも、多いのはカギの紛失トラブルについてです。これは「何でも相談コールセンター」が始まってから30年の歴史のなかで、ずっと変わらない相談ですが、その内容については多少の変化が見られるようになりました。
かつてのカギの紛失では、単に「どこかでカギを失くしてしまって困っている」というものがほとんどでした。ですからコールセンターでは、すぐに最寄りの派出所や警察署に行って紛失届を出してくるようご案内していました。また、ご自宅などどうしても急いで入らなければならないという場合、鍵屋さんをご紹介したりもしました。多くの方はカギを紛失したために軽いパニックを起こしていることが多く、相談の電話をしているあいだにカバンのなかにあるカギを発見したりすることもよくありました。また、カギが折れたというような場合や、鍵穴から抜けなくなったというようなご相談も多かったようです。

しかし最近では、カギ自体がデジタル化されている場合も多く、紛失や破損という相談もさることながら、「故障」という場合が多くなりました。
あるケースでは「鍵を落としてしまったのでどうしたらよいか」という相談でしたので、オペレーターは「どのあたりで落としたのか心当たりがあるかどうか」と尋ねました。もちろん、どこで落としたか分かっていれば苦労はしないわけですが、少なくともどの時点までカギがあったのかを絞り込むための質問なのです。

ところがお客様は「どこで落としたか」は分かっているというのです。これはオペレーターもビックリしました。では拾いに行けば良いということになるのですが、そのカギを落としたのが「トイレ」であり、しかもデジタル信号ベースのスマートキーだったのです。
簡単に拾うこともできず、拾ったところで内部に水が入ってしまっていれば機器として
使えないのではないかと考え、相談の電話をしたとのことでした。